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話を一通り聞くと、千手観音様の表情は、
以前と同じくとても穏やかなものになっていく。
俺は正解したのか……?
「まさか人間に諭されるとは。其方は達観した少年です。
左利きへの愛は本物と見えました。
褒美に、其方の嗜好を一段階強いものにして差し上げましょう」
ありがたき幸せ。
よし、これでさらに左利きフェチが深まっていく。
最高だぜ!
「目を瞑りなさい」
ようやく真の左利きフェチになれるのか。
千手観音様の気合いの一声と共に、俺の全身に稲妻が走った。
痺れが粗方落ち着いた頃に目を開けると、そこは飛行機の中。
機内は高校生で溢れ返っている。
いつの間にか帰路に着こうとしていたのか。
ん? おかしい。
左利きのクラスメイトを見ても、全く気持ちが高ぶらない。
おいおい、千手観音様。渡す褒美を間違えていますよ。
一応、道中で買った千手観音キーホルダーを見てみる。
え? これにはちゃんと興奮している。
心拍や鼻息は荒くなる一方だ。
一体全体どういうことなんだ?
あ! もしかして俺……
千手フェチになっちゃったー!?
【完結】 左利き
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