鯖街道

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若侍は頭がぼうっとしました。 「あなた様だけが、頼りでございます」 「ならば京へ使いをだして、鬼どもを取りおさえる手はずを整えさせよう。宿の主人(あるじ)が人を貸してくれるはずだ」 「ありがとうございます。お礼のしようもございません」 月が雲で(かげ)り、姫の姿は(かすみ)となって消えてしまいました。 鈴虫が壁の割れ板に向かって、去って行きます。 若侍は頭から水を3回かぶり、身体を拭いました。 湯殿を出て、宿の主人を探します。 夜が明けきる前に、使いの者を京へと送り出さねばなりません。
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