鯖街道

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鯖街道

京で名の知れた若侍が中納言の(むすめ)・すず姫と、彼女の兄ふたりを伴って、若狭国(わかさのくに)から街道を南へ上っておりました。 姫は夢告(ゆめつ)げにより、丹後国(たんごのくに)宮津の籠宮(このみや)に詣で、京へ戻る途中でした。 三人は小浜(おばま)までの道中で山崩れに遭い、お供と荷物を失って困り果てていたのです。 若侍は陰陽師(おんみょうじ)から、使命を受けておりました。 「若狭へ(おもむ)け。困っている者がいたら、お救いせよ」 若狭に着いてすぐのところで、すず姫たちと出会ったのです。 一行は水坂(みなさか)峠を越え、日暮れ前に朽木(くちき)宿に着くと、若侍の知り合いを頼りました。
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