鯖街道

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薄い布地は湯気のせいで体にひたりと張り付き、姫の腰の(なり)のよい桃のような胸を、際立たせています。 「面妖な。(もの)()が俺を(だま)そうとするのであれば、承知せぬぞ」 「あなた様を欺いているのは、私とふたりの兄に化けた、3匹の鬼でございます」 若侍は壁に掛けた太刀を手に取ると、すず姫に詳しく語るよう求めました。 「まず、私に化けたのは、『三角』という三本角の鬼です。山崩れにあったというのは鬼の嘘。峠で鬼に襲われ、私ひとりが生き残ったのでございます」 姫が身をのりだしますと、ふくよかな胸が浴衣からこぼれ落ちそうになりました。 乳房のときたら、天女も顔色を失うほどです。 「俺が鬼ならば、姫こそ先に食べてしまいたいと考えるが」 若侍は言い終えると急に、ほほが火照(ほて)るのを感じました。 「三角めが悪知恵を働かせたのです」 姫は眉をひそめ、悲しげに首を左右にふりました。 月明かり下、胸も左右にふれます。
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