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「私は虫に姿を変えられて、市女笠の内に囚われました。三角は兄に化けた2匹とともに京へ上って、わが家の人々を食らうつもりです。私は……最後に食らうと言われました」
「鬼の考えそうなことよ。なるほど俺が遣わされたのは、姫を救い、鬼を退治るためか」
若侍は納得がいったと、うなずきます。
「姫、よくぞ逃げてこられた。ところで鬼どもは今、どうしておる」
「3匹とも、寝入っております。私はそろそろ戻らないと」
「ならば人に化けている今のうち、寝首を掻いてしまおう」
若侍が太刀を手にしますと、姫は声を上げました。
「それでは私にかけられた変身の術が解けません。ただ今この姿でいられるのは、お月さまの光を浴びているからなのです」
「だが三角が姫を元に戻すのは、京で人を喰うた後のこと。そうはさせられん」
「たとえ相手が鬼でも殺生は、み仏の道に背きます。お願いでございます。あの者どもを殺さず、なんとか術を解いてくださいませ」
姫が胸に飛び込んでくると、やわらかな乳房が押しつけられました。
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