23人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
三角が変化した姫は、胴間声で話を続けます。
「姫は兄たちを深く恨んでおった。幼い頃から、さんざんいじめられていたからの」
跪いている方の姫は、全身を小刻みに震わせました。
「姫はある夜、夢告げを受けた。丹後国宮津の籠宮に詣でれば佳きことが起こる、とな。これで兄たちから逃げられると思ったら、あいつらも一緒について来た」
変化が解かれ、身の丈6尺ほどもある3本角の鬼が現れました。
「わしが姫の代わりに懲らしめてやろうと、虫に姿を変えて隙をうかがっていれば、なんのことはない。2匹の鬼に襲われて、兄たちはどこぞへ逃げ去ってしまった」
武士たちが、いっせいに弓を構えます。
最初のコメントを投稿しよう!