中納言邸

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三角が変化した姫は、胴間声(どうまごえ)で話を続けます。 「姫は兄たちを深く恨んでおった。幼い頃から、さんざんいじめられていたからの」 跪いている方の姫は、全身を小刻みに震わせました。 「姫はある夜、夢告げを受けた。丹後国宮津(たんごのくにみやづ)籠宮(このみや)(もう)でれば()きことが起こる、とな。これで兄たちから逃げられると思ったら、あいつらも一緒について来た」 変化が解かれ、身の丈6尺ほどもある3本角の鬼が現れました。 「わしが姫の代わりに懲らしめてやろうと、虫に姿を変えて(すき)をうかがっていれば、なんのことはない。2匹の鬼に襲われて、兄たちはどこぞへ逃げ去ってしまった」 武士たちが、いっせいに弓を構えます。
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