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潤んだ目でじっと見つめると。キミはうっ……と、言葉を詰まらせた。しっかり者でお姉ちゃん気質のキミが、俺のこの目に弱いことは知ってる。
わかった、わかった……と、ため息をつくと、
「……ありがと」
キミはようやく、俺が差し出した小さな紙袋を受け取った。
声が少しだけ固いのは、きっと、まだ疑ってるから。
浮気でもしてるの? なんて、プライドの高いキミはきっと聞かない。
思ってても聞かない。
それに――。
「……っ」
箱からプレゼントを取り出したキミは、無言で目を輝かせた。
疑惑もなにもかも、一瞬で吹き飛んでしまった。しっかり者だけど、そういうところは単純で素直なキミ。
シルバーのネックレス。小さな青い石が付いているだけのシンプルなデザインだ。ちょっと短めのチェーンで、首元で石が控え目に揺れるやつ。
キミが好きなデザインだと思ったんだけど、まさにそうだったみたい。
ネックレスから目を離さないまま。
キミははにかんだ笑みを浮かべて、今度こそ心から、
「……ありがと」
そう言った。
「どういたしまして」
俺もにこりと笑った。
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