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会社の人に会わないし、外に出ないしで服装がラフになったのは良くないこと。
シンプルな白シャツにジーパンってのはいいんだけど……その白シャツが丸襟なのが良くない。首元近くまで隠れてしまう丸襟っていうのが、とても良くない。
でも、だからって。天の邪鬼で照れ屋なキミは素直に言っても着てくれないじゃないか。見せてくれないじゃないか。
付き合ってる頃にそこがキレイだ、好きだって言ったら、しばーらく隠してたのはどこの誰? しばーらく隠れるような服しか着なくなったのはどこの誰?
だから、今回は本当の狙いが、バレないように気を付けたのに。
キミが気に入りそうなネックレスを探してきたのに。
新しくて買ったお気に入りのアクセサリーは、しばらく家でもつけてるキミの性格を読んで買ってきたのに――!
あ、うん……そこまで読んでるってわかったから余計に怒ったんだよね。プライドの高いキミは。
そうだよね、うん……わかるよ、わかるんだけど……。
「ねえ、もう朝ご飯できてるよ? いいんじゃない? 今日一日くらい、いいんじゃない? 折角、着たんだし」
早足でリビングを出ていくキミの背中を、俺は小走りに追いかけた。
寝室に戻ったキミは俺に背中を向けたまま、Ⅴネックのシャツを脱ぎ始めた。
襟元がゆったりしていて、プレゼントしたネックレスと、
キミの鎖骨がキレイに見える、Ⅴネックのシャツ――。
「ねえ、本当に着替えちゃうの? 洗濯物、増えちゃうよ? ねえ」
いつもの丸襟シャツに袖を通すキミの後ろで、俺はおろおろ、うろうろ。
「ねえ。ねえ、ねえ……」
「うるさい!」
「うぶっ!!」
くしゃくしゃに丸められたⅤネックのシャツを顔面で受け止めて、俺は呻き声をあげながら思った。
そんなに恥ずかしがらなくたって、いいじゃん!
隠さなくてもいいじゃん!
見せてよ、鎖骨――!!
【完結】フェチ→Ⅴネック+鎖骨
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