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木枯らしの吹く11月初旬。
警視庁管轄内で、複数の行方不明者が出ていた。
行方のわからない人間が複数いる――人口の多い都市部でそれ自体は珍しいことではない。
問題なのは、行方不明になっているのが小学生から高校生に集中していること――それも、自殺サイトのコミュニティに参加していた痕跡があるということだ。
警察はこの連続失踪事件を、集団自殺の可能性もあるとして捜査している。
しかし、最初の捜索願が出されてから10日以上経っても捜査に進展がなかった。
特室と呼ばれる『未解決・凶悪事件特別捜査室』の室長・南雲が刑事部長に呼び出されたのはその頃だ。
マスコミが大きく報道する前に、行方不明者たちの足取りを追うように指示されたと、部下である緒方愛宕に説明した。
特室は9月に新設された部署で、室長の南雲、捜査員の愛宕、そして特別捜査員のシグマこと時雨真呼の3人で構成されている。
所轄の新人刑事だった愛宕は、学生を狙った連続傷害事件の捜査でシグマと出会い、警察関係者で唯一彼女に捜査協力させた人間として有名になった。
その関係で、特室が開設された時に『シグマ』担当として引き抜かれたのだ。
シグマは特殊な拘置施設内で過ごしている。
彼女はある事件の重要参考人で、特例でそのまま拘置が続いていた。
連続傷害事件を捜査していた愛宕と出会い、彼女の言葉に乗せられるように捜査協力をしてからは度々、捜査の補助に当たっている。
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