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南雲は苦笑いしていたが、ふと気が付いたように口を開いた。
「愛宕ちゃん、衣笠先生と会ったの?」
シグマがドローンを飛ばして現場を撮影したところまでは南雲も知っている。
しかし、その後、他部署とその動画を共有するために動き回っていた。
「例の廃墟で見つかったご遺体の検死に来られた時にお会いしました」
愛宕はそう言って鞄から衣笠の名刺を出して見せる。
「愛宕ちゃん、持ってるわね」
「はい?」
「衣笠先生、あの通り気難しい人だから警察関係者でも直接連絡を取らせてくれないのよ。そんな衣笠先生に連絡先をもらうなんて……」
南雲が感心したように頷いた。
何がなんだかわからない愛宕は困ったように笑うだけだ。
「衣笠先生、ご遺体のことでわかったことがあれば連絡をくれるって言ってましたよ?」
「……そうなのね。衣笠先生の協力も得られたなら、私も頑張らないとだわ。そうと決まれば、やっぱり腹ごしらえよね。追加で頼みましょう!」
衣笠という心強い味方が出来たことで、事件も解決に向けて進んでいくことを確信した南雲。
彼女は自分と愛宕のお腹を満たすべく、更に追加注文していく。
(美味しいし、このレベルの料理ならいくらでも食べれるけれど、お代の請求額が怖いなぁ……)
並んだ皿の料理を平らげながら、愛宕は上司の財布を心配していた。
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