MIRROR 《ミラー》

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 ドクターペッパーの缶をすぐに空にしたシグマは、パソコンに向き直るとまた画面を見たままキーを打鍵し始めた。  画面が次々と移り変わっていく。 「見つけた」  ぽつりと呟くと、シグマは画面の文章を全てコピーして出力した。  プリンターから吐き出された紙には、自殺サイトのコミュニティ内の会話ログが書かれている。 「カイが持ってたミラーサイトから抜いてきた」  カイ――学生を狙った連続傷害事件を引き起こすきっかけとなった、いじめ代行アプリの制作者は、事件の取り調べ中に倒れ警察病院に入院している。  彼はシグマをライバル視しており、アプリを作ったのもその為だったようだ。 「何でカイが? それに、ミラーサイトって?」  頭に疑問符(クエスチョンマーク)を浮かべる愛宕に、シグマが深いため息をつく。  南雲はプリントアウトされた文章に目を落とし、二人の会話に入ってくる気がないようだ。 「カイのことはしらないけど、気になる情報でもあったからミラーを作っておいたんだろ。結構良い出来だね、これ」 「ミラーって何? 鏡?」 「そ。ミラーサイトって言うのは、元のサイトの写しみたいなものだよ。サーバーへの負担を減らすために作られてたりするけど、これはきっと保存用だろうね」  言いながらシグマはキーボード、マウスを操作する。  2つのディスプレイに復元した自殺サイトと、カイの作ったミラーサイトがそれぞれ映し出された。
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