森田散髪店 ~床屋になりたい~

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「ひ、ひ、ひ、ひ、ひらっしゃいまし、お客様!ここは森田散髪店でございましゅ!!」    俺は、約半年ぶりに床屋のドアをくぐったのだが、入った途端に失敗したなと思ってしまった。正直、もう帰りたかった。  すると、ひょろひょろに痩せこけたその男がなぜか半泣きで雄たけびをあげたのだ。。  その頭はコントのように右半分が爆発し、半分は刈り上げていた。  着ているTシャツも、おやじ狩りにあったようにボロボロに破けている。  俺はそもそも髪を切るのが嫌いだ。何というか、動いてはいけないという強迫観念に駆られるのだ。そして、散髪中に話しかけられるのも嫌いだ。 意識高いイケメン風、実はそうでもないマンがわざとらしいトークを仕掛けてくるのは、我慢がならぬ。  だから、今回は敢えてあんまりお洒落じゃないと評判の、というかどちらかというと小汚い森田散髪店へと行ってみたのだ。
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