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第X話「空白」
籠の中には夢幻の楽園――
生み出したるは起源の神――
孤独な檻の中 其の者 片手に運命録を携え 天上の間へと足を運ぶ
響く鐘 その音に耳を傾けることもなく 一歩 また一歩 己が時を進めていく
空の心を揺らし 不死の身を削り繰り返すは 主より与えられし役目
そう 全ては螺旋の先に待つ 新たな可能性を知る為 記す為
其れが 王と救世の象徴を其の名に宿す 彼の運命であった
……それぞれには それぞれの「物語」がある
「物語」には 始まりがあり 終わりがある
さぁ 開かれる 再び運命は動き出す
……願わくは 世界がこの層に到達すること
不意に芽生えた思いは虚空に消えていく
美しき雲海を貫き聳える時計塔は 今日も眠らず 無意味に時を刻んでいた
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