第2話「勇者の石」

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 先程と同じように、ステージの床が開閉。白煙と共に商品が現れる。  「ロットナンバー02、あの大人気TCG! Tower of Rankersの最新カード! 《紺碧(こんぺき)巨神(きょしん)ジアズ》! レジェンドレア!!」  「何っ!?」  モニターにはカードに描かれたモンスターの映像が流れ始める。  「これは……、ああ、アニメのカードか。」    「アグラン見てないのかよ! すげー、面白いのに!」  「もう、ああいうものを楽しめる歳ではなくてな。」  「う~ん、レジェンドレア……普通に当てようと思ったら相当運が良くないと……。」  「確か封入率は4BOXに1枚程度だったか。」  「それは知ってるのかよ……。」  《ヘルシィー!!》  「またまた出ました! スーパーヘルシー! この商品もボーナスマネーでのみ落札が可能です!」  「くそ……、ちょっと欲しい。」  ケロタンは前のめりになり、入力を始める。  「い、1ライドでいけるかな?」  「他にいなければな……。」  そう言われ、ケロタンは辺りを見回す。  先程よりもライバルが多い気がする。  「ああ~、駄目だ。絶対1000ライド出す奴いるだろ。」  「そんな簡単に諦められるのなら、本当に欲しい物ではないんだろう。」  「それでは! 入札額公開です!!」  シカーイが再びリモコンのボタンを押し、入札額が公開。  案の定、1000ライドを入札した客が何人かいた。  「金額が被った場合の勝負方法は、ルーレットで決定します!」  ステージのモニターがルーレットの画面に切り替わり、すぐに回り始める。  ジャンケン、リアルマネー、巨大サイコロ、他にも様々な勝負方法があるようだが……。  「さて、針が指し示すのは……!?」  【ボタン連打】  「ボタン連打です!!」  《ウィーン!》  ルーレットが消えると同時に、1000ライドを入札した者の席に大きめのボタンが出現した。  「三十秒間にボタンを何回連打できるか……!? 非常にシンプルな勝負です!   準備はよろしいでしょうか!? それではスタート!!」  開始の合図と共に、一斉に始まる連打。殴打。  「……!!」  ある者は無心。  「うおおおおおお!!」  ある者は大声。  「ああああああ!?!?!?!!?」  ある者は狂気。  彼らはたった一枚のカードを手に入れる為、己が片腕を犠牲にしてゆく。  「凄いな。」  「敵に回しちゃいけねぇよ……。」  ケロタンとアグニスは、コレクター達の熱にただただ圧倒されるのであった。  「そこまで!!   最も連打数が多かったのは……そこの方!! なんと記録は118回!!」  《パチパチパチパチ!!》  眼鏡をかけたノーマンは連打に使った腕を力なく掲げ、客は拍手を送った。    「さぁ、どんどん行きましょう!   三番目の商品は……こちらです!!」  《プシュオー!!》        
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