今日でさよなら

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 そうして、ぼく達は付き合い始めた。「吉沢さん」が「たっくん」になるのにそう時間はかからなかった。海に行き、山に行き、夜を、週末を一緒に過ごした。  予定が合わない時もあるにはあったけれど、他の誰かと逢うにはよほどスケジューリングがしっかりしていないと難しかったと思う。  美香はどうやって時間をやりくりしていたのだろう。ずっと恋愛だけをしていられるほど、ぼく達は余裕がある筈はないのに。  グラスを空けてしまって、ぼくはまたボトルからなみなみとアブソルートを注いだ。だいぶ酩酊感が強くなってきていた。  この強い酒を、美香は好んで飲んだ。時にはストレートで、時にはカクテルで。
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