今日でさよなら

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 考えを巡らせるといくつかの疑念も沸いてきた。まず並んで歩く時の位置。普通に歩道を歩く場合の立つ位置が、彼女はぼくが今まで付き合ってきた女性とは逆だった。すぐに慣れたし、車通りがある場所などはどちらにせよぼくが外側を歩くから、そこまで気にしてはいなかった。  初めてキスをした時も、少し妙だった。頭を傾ける方向が、ぼくと彼女は鏡で合わせた様に同じ方向だったのだ。思わずお互い照れ笑いをしてしまって、その場はぼくが向きを変えて口づけした。けれどそれ以降は、美香はぼくに合わせるようにしてくれていた。
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