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一週間後、つばさは池辺とカフェで待ち合わせていた。
彼から早くも調査結果を貰う約束だった。
挨拶の後当たり障りのない世間話を終えると、彼はつばさに例の調査報告を始めた。
彼はテーブルの上に数枚の写真をひとつずつ置いた。
「こちらは、ITOUの会長さんを見送っているところです」
だいぶ年配の男性が車に乗るのを見送る和義。男性は笑顔だが和義の表情は険しい。
「ITOU最寄りのホテルに呼び出さていました」
その理由は孫娘の警護の件だろうか。
「そして、こちらはITOUの社長さんとです。こちらは銀座のホテルです」
ラウンジらしい場所。
つばさの母くらいの歳と見える女性と和義が写っていた。
女性の顔は目が吊り上がり恐ろしい顔。和義はうつむき加減。表情もだいぶ険しい。
「……警護に入っているご令嬢のことで、お説教を受けていたようです」
やはり噂は正しかったのだ。
これで彼の警護の仕事は御役御免。元の仕事に戻れるかもしれない。
そうしたら彼の気分は晴れるし、つばさの不安も解消される。
「そうなんですね」
気分が高揚したつばさ。それが声に出てしまった。
少し怪訝な顔を池辺にされた。
大丈夫だ。ライバル刑事の素行調査だと思ってくれればそれでいい。
「そして、こちらは……」
最後に池辺が出した写真。
そのせいでつばさの高揚していた気分は一気にどん底へと落ちた。
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