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(02)へるまふろでとす
LOTUSと契約締結直後から毎週金曜日に週報が届くようになっていた。
差し出し人は菊池。
最新の報告は、
『不明薬剤についてアメリカの大学と製薬会社に問い合わせ、薬害等過去事例が無いか欧米の事例含めて確認中です』
だった。
規模が大きくなってきたな、と申し訳なくなってきたつばさ。
するとその気持ちを察知したのか、隣で同じ報告を見ていた相棒が言った。
「社長さん以前はアメリカで仕事してたそうで、今回古巣と仕事が出来てすごく喜んでるみたいですよ」
「そうなんだ」
ちょっとだけほっとしたが……
「その情報提供元の梅村ですが、英語の会議議事録作成が地獄だって愚痴ってます」
ニヤリとした与晴。
「うわ…… ごめんね、梅村くん」
また申し訳なさが勝ってしまった。
「でも大丈夫みたいですよ。英語を喋る社長を見られるからチャラだって言ってるんで」
ニヤッとした理由がわかった。やっぱりこの同級生コンビは同類。
つばさは少し呆れつつ、些細なことで幸せになれる彼らの純粋さを微笑ましく思った。
菊池に返事を出し終えそろそろ帰ろうかと帰宅の準備をしていると、
突然刑事課全員の招集が掛かった。
三宅と茂山が既に帰宅したあとだったが、残りのメンバーは会議室へと向かった。
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