(02)へるまふろでとす

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 佐門署刑事課長から事件の説明があった。 「管轄内河川敷橋下で身元不明の遺体発見」  それ以外の情報はまだ収集中とのこと。 「……久しぶりに厄介そうな事件ですね」  隣の西谷につばさは相槌を打った。 「……そうだね」  殺人事件、死体遺棄事件。いずれにせよ不穏な事件だ。  しばらくすると続報が来た。 「性別年齢ともに不明」  それが意味するところは、大体は死後数日経過。つばさは身構えた。  続報はなかなか来ない。もうそろそろ21時だ。 「三宅君とは連絡付いたかね?」  井上が吉田に聞く。 「はい。ただ、最終の新幹線に乗って新横出てしまったあとだったので、戻る場合…… 明日朝です。玄さんに諸々任せると」  彼は明日明後日は親戚の法事で家族で京都に行くと言っていた。  三宅班の指揮権が井上に移った。 「賢治は?」 「もうまもなく戻ります」  帰宅途中だった茂山は呼び出されてすぐに戻って来た。  しばらくすると、さらに続報が入った。 「遺体は死後数時間経過と見られる。年齢は20代から30代と推定」  つばさの頭には疑問符が浮かんだ。  死後数時間で性別不明。仏は一体どういう状態なのか?  さらに続報が来た。 「目立った外傷は今のところ見られないとの事。事件事件両方の可能性で捜査本部を立ち上げる」  疑問がさらに湧き上がる。  綺麗な状態で性別不明などあり得るのか?  つばさは井上の許可を取った後、課長のもとへ向かった。 「課長、仏は今どこに?」 「佐門署(うち)の鑑識のとこだ」 「……確認に行っても良いですか?」  どういう状態なのか、自分の目で確認したかった。
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