(03)菫

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 つばさは与晴に端的に耳打ちした。  LOTUSの二人も察した。 「緊急ですか?」 「はい、申し訳ありません。お話の続きは……」  菊池が遮った。 「佐藤くんに託したから、分からなかったら電話かメールして」 「ありがとー、お菊」 「では、お仕事頑張ってください、小野警部補!」  敬礼する菊池に敬礼で返した。 「ありがとうございます!」  菊池と新居に非礼を詫びつつ、二人は部屋を出た。  蓮見社長と秘書の梅村と鉢合わせた。 「あれっ、もうお帰りですか?」 「申し訳ありません。緊急事態が発生しまして……」  何故か秘書が社長をジトっとした目で見ている。  社長はその視線を感じて逃れるような素振り。  なんだろうか。  しかし、いまはそれに気を取られている場合では無い。 「梅村、エレベ……」  既にエレベーターの扉が開いて秘書の梅村が中で待機している。 「……お二人にお話があったのですが、緊急では無いのでメールしますね」 「申し訳ないです。お手数お掛けしますが、よろしくお願いします」 「では、また。お気をつけて。梅村、しっかりお見送りを」 「……はい」  社長と秘書の遣り取りはいたって普通に見えるが、やっぱり社長が秘書から目を逸らしている気がする。  やっぱり気になるつばさだった。
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