(04)この道は茨道?

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 翌日、与晴が運転する車で三人はいつも通り出勤した。  しかし、署はいつもとは少し様子が違っている。  駐車場がいつもより混んでいることに与晴が最初に気づいた。 「うわっ。いつもの場所、誰かに停められてるし。異常に車多いし……」  眉間に皺を寄せた。 「なんかあったかもな」  茂山も訝しげに呟く。 「与、ごめん駐車お願い。先行くね」 「了解です」  つばさは相棒に断って茂山と車を降りた。  署内はいつも通りの様子だったが、三宅班の島にいた吉田が二人を見るなり寄ってきた。  常ならぬ様子に、相棒である茂山が伺う。 「なんか朝からありました?」 「本庁から一課が来た。 三宅班(うち)のあの案件引き取るって」 「え? 班長と署長はどうしたんですか?」 「拒否して、今バトル中」  つばさは署長が本庁に楯突いたことに驚いた。 ほいほいと投げ出すに違いないと思っていたのだ。 「玄さんと西谷が応援に行ってるから、今からわたしも行くけど、あんたたちも来る?」 「はい。佐門署イケメン御三家揃えた方が勝てますしね」  茂山は自称爽やかスマイルで言い切った。 「は? 何だそれ、今作っただろ?」  彼に突っ込むつばさ。茂山は怯まず続けた。 「前々から構想はありましたよ。筆頭佐藤、次点小野先輩、殿(しんがり)俺」  変な時だけ自分を先輩扱いする茂山をつばさはスルーした。 「あ、与。駐車できた?」  与晴がようやく合流した。 「はい。どうにか空きが見つかりました。……あの、何かありました?」  つばさが端的に説明すると、与晴はすぐスマホを取り出した。 「岩井警視正に至急確認とります。先に署長室行っててもらえますか?」 「了解。任せた」  三人は足早に署長室へ向かった。  署長室の外で耳を澄ますと、署長の声が聞こえた。 『佐門署(うち)の管轄内で起きた事件ですよ。 そんなに大規模な事件でもないのに、なぜ途中から持って行くのですか?』  聞き慣れた嫌味ったらしい言い方。 それに対抗するように、輪をかけて嫌味な言い方をする男性の声が聞こえてくる。 『逆に、我々に渡すのをなぜそんなに渋るんです?』  今入室していいタイミングなのか? 三人で迷っていると、与晴がやってきた。 「……岩井警視正、この件既にご存知でもう手を打ってあるそうです。 我々は何も手を出さず見ていろと」  四人で顔を見合わせ、どうするか話し合った。 このまま事務室に引き揚げるか、突入して数合わせだけの見守る応援をするか……  突然四人は声を掛けられた。 「おはようございます。みなさん、どうしました? 一緒に入りましょう」  つばさは聞き覚えのある声に驚き振り向き様に口を滑らせそうになった。 「和…… 宮田警視正?」  笑顔の彼がそこにいた。
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