21人が本棚に入れています
本棚に追加
茂山と吉田は関口の指紋、DNA、歯型、カルテと、
警視庁に登録された新しい身元不明遺体の情報全てと照合させることを提案した。
解剖の許可がまだ時間が掛かりそうな上に関口の捜索願いが出されたのが理由だった。
まず指紋を照合。すぐ結果が出た。
「一致するのは無いそうだ」
その結果に顔色一つ変えず吉田は言った。
「……想定内です。小野と岩井の指紋は一致しませんから」
三宅が訝しむ。
「……何を考えてる?」
警察官は指紋を登録しなければならない。
『小野雄翼』を登録する際、既存の『岩井つばさ』と一致した場合はつばさの方を改竄しようという話になったが、一致しなかった。
「……後で話します」
次々に他の照合結果が上がってきた。
「歯型不一致です」
「血液型一致」
「既往症、通院歴特になし」
「虹彩データ未登録で照合不可です」
使えない結果のみ。しかしそれすら二人の想定内だったようだ。
「本命はDNA鑑定の結果ですから」
茂山が言う。
「……わかった」
そして数時間前、本命の結果が出てきた。
DNAが一致したのはあろうことか、あの身元不明の遺体だった。
「……説明してもらおうか」
動揺を押し隠しながら三宅は吉田茂山ペアに指示を出した。
しかし、ちょうどそこへ鑑識の澤田が焦った様子でやってきた。
「あれ、どうした?」
「ごめん龍ちゃん邪魔して。緊急。
小野君、手袋の外側からとったDNAとあの仏のが一致した!
で、手袋の内側から取れた指紋は、照合してくれって言ってたのと一致した」
仏の首を絞めたと思われるのは秋山で確定だ。そしてその仏は関口かもしれない。
……これは一体どういうことだ?
「澤田さん。ありがとうございます……」
どうにか彼にそう返した。
「澤田、後で行く」
澤田はすぐ立ち去った。
「わかった。じゃ!」
三宅は深呼吸した後吉田に命じた。
「説明を」
最初のコメントを投稿しよう!