(01)恋の手習い…

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(01)恋の手習い…

 三宅班全員で会議が始まった。 現状共有がメインだったが、つばさの解毒と原状復帰の件も話し合った。 「少し気が早いかもしれないが、無事に戻れた場合のプランについて……」 ・小野雄翼は病気休職とする ・岩井つばさはその2週間後の復帰とする ・しばらくは佐藤与晴とペアを継続する 「……しばらく、とは?」  口を挟んだ与晴、不安げな彼につばさは穏やかに言った。 「マックスであなたの30歳の誕生日。それは最初に約束したとおり。でもそれより先に解決したら、また考えよう」 「……分かりました」  まだ晴れない表情が気になったが、この場はそっとしておいた。  すると彼は突然班長へ進言した。 「岩井先輩単独での宮田警視正への接触は禁止としてください」  黙っていたし、気取られないようにしていたが、なにかに勘づいたのかもしれない。  頼もしく感じると同時に、彼の気遣いに感謝した。 『単独』ということは、誰かを付ければ和義に会えるということ。  最大限の配慮だろう。 「……いいか? 雄翼」 「はい。構いません」  まだ戻れるとは決まったわけではない。 これが無駄な会議にならなければ良いとつばさは思った。
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