(02)友

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 部屋に戻ると、正座して待っていた茂山にお茶を煎れて出した。 「……飲みな」 「……ありがとう」  一緒にお茶を啜りながら、彼の様子を見つつ話し掛けた。 「……沙代、オレみたいな冷蔵庫の中に作り置きのおかず貯めたり、 余り物で適当にチャーハン作るような男は嫌だってさ」 「……は? なんだよそれ」  ようやく茂山の表情が明るくなったことを確認し、話を続けた。 「沙代、信じてくれた。わたしだって……」 「そっか。良かったじゃん」 「うん」  茂山は少し迷いながらといった様子で、つばさに問いかけた。 「……悩んでる? 警視正とのこと?」 「……ちょっとね」  彼はそれ以上聞いて来なかった。 「……あんまり無理するなよ」 「……ありがとう」  「なにかあったら、俺も相談乗るから」 「……うーん」  和義を良く思っていない彼に相談はできない。 「なんだよ、うーん、て」  黙っていると彼は話題を変えた。 「解毒するか決めた?」 「……まだ」 「珍しいな、つばさが迷うの」 「うん……」  ぐだぐだ決めかねているという自覚はある。 「焦らずに悩んで考え抜いて判断すべきだと思う。 その間に他の手段が出てくるかもだし」 「うん……」  スッキリしないつばさの態度を気にしてか、茂山は提案した。 「気分転換する?」  筋トレからの風呂、食事…… 「する」 「わかった。与に連絡するわ。 お茶、ご馳走様でした」 「お粗末さまでした」 「じゃ、4階に集合ね」  彼は自分で流しに湯呑みを持っていくと部屋から出て行った。  今日こそ答えを出そう、つばさはそうこころに決めながら、筋トレの準備に取り掛かった。
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