(01)刑事、岩井つばさ

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(01)刑事、岩井つばさ

「今月も元気に安全に、お仕事出来ますように」  毎月始めの勤務日、ある稲荷社に詣でるのが岩井つばさのルーティンだ。  厄年年間ということもあり参詣は気合が入っている。  ここは商売繁盛、家内安全の御利益がある。そして、恋愛成就も。 「無事に和義さんと結婚できますように……」  婚約者との結婚が決まっているので、念入りに願う。  熱心に手を合わせているつばさのまとめ髪が、背後からちょんちょんと引っ張られた。 「先輩、そろそろ……」  引っ張ったのは彼女の相棒、佐藤与晴(さとうともはる)  つばさのポニーテールを控えめに引っ張るのは、真面目と周りから言われる彼が唯一やる悪戯。 「あと少し待って。……あ。与もお詣りしときなさい」  与晴も律儀につばさの隣で手を合わせ一礼し、お詣り完了。 「ごめん待たせて。行こうか」 「はい」 「運転お願いね」  つばさは与晴の運転する車に乗り込んだ。
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