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茂山は慎重に真面目に茶化さず与晴へ問うた。
「……ちなみに、つばさと一緒にいてなったことは?」
「無かったです。一度も」
「……でも、正直なところ、おって思うことはあったよね?」
遠慮なく切り込むと、与晴も正直に答えた。
「……はい。……俺も男なんで」
「……いつだっけ、胸元ざっくりなドレス着た時。あれすごくなかった?」
「……はい。あれは三度見して西谷に怒られました」
懐かしい話をして二人で笑った。
「でもつばさは気づいてない、と」
「だいぶ男女の機微に疎いですからね」
「だから気づかなかったか…… クズ義の本性に」
冗談交じりに言うと、与晴は真顔で返した。
「和義です」
しかしマジレスのみではなかった。
「クズ通り越してカスですよ。あのクソ野郎……」
語気と目にかなりの迫力が出た。
「君は怒るとヤクザになるから、気をつけな」
「……はい」
「話戻るけど、あれだけ着痩せする女他に見たことないよ、俺」
「今も着痩せしてますからね。結構筋肉付いたのにあんまり見た目変わらないんで」
「……やはり君はあの筋肉に興奮したのではないかね?
つばさと真逆だから」
脱線していた話を強引に元に戻した。
「……違うと思います」
「……じゃあ、ほんとのつばさの裸を妄想して?」
「してません!
そりゃ、たまに岩井先輩の姿が見える幻覚と、声が聞こえる幻聴はありましたけど……」
聞き捨てならないことを聞いた茂山は、そこを掘り下げにかかった。
「いつどういう時に見えた? 聞こえた?」
「……俺を心配して声かけてくれた時とか、ですかね。
でもそれで興奮はしてないです」
つばさで興奮せず、雄翼で興奮した、ということだろうか……
「今のとこ、昨日のサウナだけ?」
「……いえ」
「……どこでどういうときに?」
「……先輩にハグし返された時とか、かわいいって言われた時、やばかったです」
「……は?」
仲が良いとは常々思っていたが、良さの種類が違ってきた気がする。
「……君たちは二人でなにをしてるんだい?」
与晴は俯き、黙ってしまった。
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