夢でよかった

夢のスタメン

「菅野さん、山本はバントもなさそうだし、ヒッティングの様子も無かったし・・一体、何を待っているのでしょうかね？」

「カウントが良くなるまで・・つまり松本が走るのを待っているようにも見えるんですよね」

　さすが解説者だよね・・と言いたいところだが、グランドに居る俺に放送席の声が聞こえるはずも無い。でも当たってるのは確かや。

「2エンド2のカウントですが、走るとしたらここですかね？・・ピッチャーの大野・・セットポジションから第5球・・投げました！　松本走りました、キャッチャーセカンドに投げましたが・・セーフ、セーフです、さすが昨年の盗塁王の松本です、この間の投球は外れて、3ボール2ストライクとなりました」

　そうか、2ストライク取られていたんだ、馬鹿だね俺って、今のファールしなきゃダメだったんだ・・でもファールしてたら盗塁できないよね・・こりゃアカン、監督の言う通りしてたら、松本さんに怒鳴られていたところだ。

「松本、見事な盗塁です、タートルズこれで一打同点のチャンスです、菅野さん、松本が2塁まで進んだと言うことは、山本は勿論バントですよね」

「そうです、私ならアウト一つを犠牲にしてでもランナーを3塁に進めたいですよね」

「さぁ3塁側コーチからサインが出ています・・山本はそのサインを伺っています」

　どうせ送りバントだろ⁉　そうかウエイティングもあるか？　なにっ、打て言うんかいな、フリーで打てってことやな？　そやけど三振したら、どうせ明日は二軍に逆戻りやないかいな・・でもよく考えたら昨日の俺に戻るだけの事や！　そうや、元に戻るだけや・・もう緊張すんの止～めた！

よっしゃどうせなら、もっとポジティブになろう。
フルカウントや、さぁバッテリーはどうする？　これまでの攻めはインコースばっかりや、ここでフォアボールは出したくない筈や、なんたって俺は二軍上がりやもんな、決め球はきっと外角一杯のところに外からのスライダーでストライクを取りにくるやろ！　よし出来るだけ呼び込んだるぞ・・