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「……え、野間くんわかるの」
「うん。わかるよ」
運命だ。
僕はそう思った。
この感覚を持っている人に出会えるとは。
――わかってもらいたいわけじゃない、なんて。
そんなのただの強がりだった。
「僕と友達になってくれない?」
同じものを愛している人と出会えたことが、心の底から嬉しかった。
「……私は、まだ怪しんでるわ。あなたが本当に同じかどうか」
言葉通り、彼女の表情は警戒を緩めない。
「私と友達になりたいなら……これだけは訊かせて」
そして、彼女は口を開いた。
「円周率のことどう思う?」
「あいつは色んな数字をたぶらかす節操なしだ」
「よし友達になりましょう」
こうして僕たちは友達になり、そして流れる時の中で交際を始め、今に至る。
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