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4、5、7、8
「改めて考えてみると4って野間くんみたいよね」
「嘘だろ。4みたいな捻くれ者と一緒にしないでくれ」
4ってのはいつもどこ向いてるかわからないような、前に進んだかと思えば左斜め後ろに鋭角ターンするような、そんな人とは違うことを嬉々としてしたがる天邪鬼だ。
まさかそんな風に思われてるのか? いやだ、絶対一緒にされたくない。
「まあ流石に4は言いすぎだけど、4の素質は持ってるように思うの」
「ええ、なんだよそれ」
ベッドの側面に背を預けながら、クッションを抱えてスマホでナンプレをしている南波は言う。
「だって素直じゃないもの。7みたいに見栄っ張りだし」
「それは言いすぎだろ。せめて5くらいで頼む」
僕は彼女の隣に座りながら『数ラブ -青春数学ラブミステリー- 』という題名の文庫本を開く。今日の昼休みにタイトル買いをした本だ。
「5って根は良いやつなのよ。ぱっと見だと厳つくて近付きがたいんだけど、中身は丸っこくて優しいの。友達想いだしね」
「確かに5は良いやつだ。それについては僕も認めるよ。でも4とか7とか一緒にされるのは心外だ」
7なんて、自分を大きく見せようとするくせに足元が覚束ないから結局転んで情けないオチに終わるようなやつだ。絶対一緒にされたくない。
隣に座る南波との間に小さな隙間があったので、僕は少し寄ってそれを埋めた。
肩が触れる。
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