37人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ8は?」
「ひきこもりじゃねーか」
8はぐるぐると自分の世界を捻じれて回り続け、他の一切を自分の内に入れようとしない強固なガーディアン。自分の世界を守る者。つまりひきこもりだ。絶対一緒にされたくない。
南波はスマホから目を外し、手を伸ばしてテーブルの上にあったウーロン茶を飲む。
ふう、と息をつき、元の体勢に戻った時にはまた僕たちの間に隙間ができた。
「でも野間くんって素直じゃないから」
「そんなことないだろ」
僕も手を伸ばしてお茶を取る。
そして一口飲んだ後、元の体勢に戻る時に僕はその隙間を埋めた。
「だってさ」
「なんだよ」
南波は少し離れる。
僕は少し近付く。
「そんなにくっつきたいなら言えばいいのに」
「……言えないだろ」
あはは、と彼女はスマホから目を離さずに笑う。
少しの間だけ笑った後に。
彼女は、こてん、とその小さな頭を僕の肩に乗せた。
ふふ、と楽しそうな笑い声が耳元で鳴る。
「野間くんは1より純朴なのよね。そこがいい」
「南波は2よりあざとかわいくて、そこがいい」
僕が苦笑交じりに言うと。
肩の上の彼女は、今度は嬉しそうに、ふふふ、と笑った。
最初のコメントを投稿しよう!