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「すまない。興奮しすぎてしまったようだ」
「先輩の奇数好きはわかりましたけど、」
「ちょっと待ってくれ」
私の声を遮って、先輩が言った。
「聞き捨てならない。俺は奇数が好きなわけじゃない。素数が好きなんだ!」
「何が違うんですか?」
「はあああああ!?」
私の疑問に、先輩は未だかつて聞いたことがない叫び声を上げる。
2ndと3rdの音がピタリと止んだ。
「さっきから何話してんの。練習しなよ」
2nd担当で、パートリーダーを務めるモモ先輩に怒られてしまった。
「すみません!」
私は瞬時に頭を下げる。隣にいるコウキ先輩はなぜか私を睨んでいる。
先輩の耳元でささやく。
「先輩のせいで怒られたじゃないですか!」
「いや、元はといえば、奇数と素数の違いが分からない君のせいだ。例えば15は15で魅力的だが、なんといっても17の美しさには敵わないだろう? ああ、でも27も捨てがたいな。なんといっても3の3乗であるところがたまらない。……くっ、奇数に浮気してしまいそうだ……」
「いつまで訳の分からないことを言ってるんですか! 練習しますよ?」
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