人生最高の恋……のはず

3/7
前へ
/7ページ
次へ
 翌日。  あたしは、登校時、千紘くんに声を掛けられた。 「放課後、体育館の裏に来てくれないかな?」  沙苗ちゃんに報告すると、沙苗ちゃんは静かに手を合わせた。 「こ愁傷様。ボコられるね」 「ええわい、ええわい。最期イケメンの顔見て死ねたら本望じゃい」  沙苗ちゃんは線香はあげに行くね、とのことだ。  いざ、放課後。  体育館裏に向かうと、既に千紘くんが壁にもたれて立っていた。  かっこいい。そして、殺されるかもしれない。そういうプレイと思おう。 「あ、あの、ごめんなさい」 「あ、あの、好きです」  ……  …………  ……………… 「……は? はえ?」  千紘くんは照れ臭そうに鼻下を掻いた。 「好きなんだ。付き合ってくれないかな?」 「へ、へいっ!」  予想だにしない告白に、あたしは寿司屋の大将口調で応えるしかなかった。  沙苗ちゃんに報告すると、沙苗ちゃんは蟹のように泡を出して気絶した。  かくして、あたしと千紘くんは付き合うこととなったのだ。  人生に バラ咲く時間 訪れり  その日、あたしが風呂上がりに詠んだ句である。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加