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翌日。
あたしは、登校時、千紘くんに声を掛けられた。
「放課後、体育館の裏に来てくれないかな?」
沙苗ちゃんに報告すると、沙苗ちゃんは静かに手を合わせた。
「こ愁傷様。ボコられるね」
「ええわい、ええわい。最期イケメンの顔見て死ねたら本望じゃい」
沙苗ちゃんは線香はあげに行くね、とのことだ。
いざ、放課後。
体育館裏に向かうと、既に千紘くんが壁にもたれて立っていた。
かっこいい。そして、殺されるかもしれない。そういうプレイと思おう。
「あ、あの、ごめんなさい」
「あ、あの、好きです」
……
…………
………………
「……は? はえ?」
千紘くんは照れ臭そうに鼻下を掻いた。
「好きなんだ。付き合ってくれないかな?」
「へ、へいっ!」
予想だにしない告白に、あたしは寿司屋の大将口調で応えるしかなかった。
沙苗ちゃんに報告すると、沙苗ちゃんは蟹のように泡を出して気絶した。
かくして、あたしと千紘くんは付き合うこととなったのだ。
人生に バラ咲く時間 訪れり
その日、あたしが風呂上がりに詠んだ句である。
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