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『明日も一緒に帰りたい』
千紘くんからのLINEが届いた。
頬をつねるが、ちゃんと痛い。
蜂蜜を砂糖で煮て、ガムシロップとミルクチョコレートを隠し味に加えた甘さの日々をあたしは過ごしている。
お父様お母様、現在、娘は絶頂期を迎えております。夕食時、どうしてもにやけてしまうあたしを不審な目で見るお父さんお母さんに、あたしはそのテレパシーを送った。
「ご、ごちそうさん」
お父さんお母さんは気まずそうに、食卓を立った。
そっか、我が愛しの親ながら、とても若い頃にモテていたとは言い難い。分かんないよね、この蜂蜜と砂糖のハイブリッド甘々生活。
あたしは、やれやれと肩を竦めて部屋に戻った。
付き合い始めて、結構、写真を撮っている。スマホをいじり、何度見返しても嬉しい。少しあたしは冒険した。
『千紘くん、二人で撮った写真でどれが一番好き?』
千紘くんからはすぐに返信がくる。それも幸せ過ぎるのだ。
『俺は、ダントツでこれかな』
そんなメッセージとともに送られてきたのは、あたしがアメリカンドッグを頬張って千紘くんに寄りかかっている写真だった。
『やだぁ、これあたし恥ずかしいじゃん』
『んーん、この凛子が一番かわいい♡』
あたしの好きな食べ物は、お寿司、ハンバーグ、メロン、エビフライなどの強豪を蹴散らして、本日アメリカンドッグが首位に躍り出た。
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