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男が問いかける。
「お前は……ゾンビか!?」
おお、そう来たか。さあ、どう答える?
いろいろな考えが頭の中をわーっと駆け巡るが、どう見たってゾンビ顔してる俺が「違います」って言っても信じてもらえないだろうし、そうなるとよけいに話がややこしくなる。ここは正直に言った方がいいだろう。
「そうです、ゾンビです。ただし……」
すぐに続ける。
「他のゾンビとは種類が違うようで、生きてる人間を襲ったり食べたりはしません。理性も残ってますし、こうやって普通に話すこともできます」
俺の返事に男達は驚いたようだ。え? そんなゾンビがいるのか、聞いてねえぞ、みたいな困惑の表情を浮かべ、二人で顔を見合わせている。
「だからとりあえずその銃を下ろして下さい。それじゃ落ち着いてしゃべれない」
二人はまた顔を見合わせ、俺に向けて拳銃を構えていた男は、いったんそれを下ろした。
「ありがとうございます。あなた方は救助隊の方ですか?」
俺は再びゆっくり近づきながら男達に尋ねた。
「いや、違う……おい! 近づくな! それ以上近づくな!」
えらいビビりようだな。
「救助隊じゃないなら、何故あなた達、こんな危険な所に入って来てるんです?」
距離にして3~4メートル、普通の声量で会話できるぐらいの距離を保って俺は尋ねた。屋外でこのぐらいの距離なら俺のウイルスが感染することもないだろう。
「俺たちは……生存者を探している」
男はそう答えた。
何だ。やっぱりそうか。それなら救助隊と同じじゃないか。そうならそうと言ってくれたらいいのに。
俺は思い切り笑顔になり
「ああ良かった。生存者が2名います。ぜひ保護してやって下さい」
そう伝えた。
しかしそれを聞いた男達は、全く俺が思ってもみなかった反応を見せた。
「なに? 生存者がいるのか。あのトラックに乗ってるのか」
そう言うなり拳銃をトラックに向けたのだ。
「お、おい! 何するんだ!」
うろたえる俺に、男は確かにこう言った。
「生存者がいると、困るんだよ」
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