二日目 第十話 生存者狩り

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「乗って! 早く乗って!」 停まったトラックの運転席から葵が顔を出して叫んでいる。 男達は段ボールの山の中でごそごそもがいているが、これぐらいでは死にゃしない。そのうち立ち上がって撃ってくるだろう。 急げ! 俺はよろよろと立ち上がって、空になったトラックの荷台の上に這い上がった。 トラックが動き出した瞬間、荷台から転げ落ちそうになり、とっさにそこにとぐろを巻いてた荷造り用のロープをつかもうとしたが、あれ? つかめない。 慌てて右手でロープをつかみ直して事なきを得たが……見ると俺の左手の親指は付け根から綺麗に無くなっていた。 さっきライフル銃をつかんだ時、左手が銃口にかぶってたんだろう。そのまま発砲されて指が吹き飛んだのか。 普通なら血が噴き出すところだが、出血というほどの血も出ていない。まあ頭を吹き飛ばされなくて良かったし、トラックに着弾しなくて良かった。どうせもう死んでるんだ、指の一本や二本、くれてやるさ。 陽奈が後の窓からこちらを心配そうに見ている。 笑顔で手を振ってやったら、ぷいっとした表情で前を向いてしまった。何だ? 何かまずかったか? 女の子は難しいな。
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