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「うん。それでね、この人の話っていうのが、前よりももっと危ない連中、つまりテロリストが自分の命とウイルスを狙ってる、っていうことだったのよ。電波でしょ?」
「……そうですねえ」
「それでね、自分の身に何か起るとするとこの2~3ヶ月以内のことだろう、これから3日に一度は必ず生存確認の連絡をするから、3日以上俺から連絡がなかったら何かあったと判断して、俺の研究室のパソコンにUSBメモリを刺して起動してくれ、っていうことだったわ」
「USBメモリですか」
「そう。研究室の鍵とメモリを渡されて、パスワードも聞かされたわ。パソコン起動したら何が起るのかは知らないけど」
「へええ」
「もう一つ、テロリストがウイルスを手に入れたら、すぐ身近な場所でテロを起こす可能性がある、もしお前がゾンビパニックに巻き込まれたらこの抗体を自分で点滴しろ、ってさっきあなたに点滴したのと同じのを渡されたの」
「だから葵先生はゾンビになってないんですね?」
「そうなの。で、他にもゾンビの特徴とか行動特性だとかいろいろ熱弁されて、とにかく当直室に逃げ込め、10日間生き延びろ、俺がもし生きてたら助けに行ってやるから、って言われたの」
「それが結局、その通りになってしまったと……」
葵は、はああと大きくため息をついた。
「そうなの。まさか本当にこんなことが起こるなんて……私の方が、馬鹿だったわ」
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