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「あ、すいませーん。」
「はい?」
「お客様、ちょっとお熱がお有りのようですね?」
「え?うそ!」
「発熱のある方の店内入場をお断りしてます。申し訳ございません。」
「そ、そんなー・・。」
俺は呆然とした。
それ幸いと恭子は俺の両脇あたりを背中から腕を回して抱えると、俺を引きずるようにしてユニクロから脱出した。
「興奮しすぎなのよ。馬鹿か。」
「俺の夢が・・。」
落ち込む俺を見て、恭子は「はあー。」とため息をついた。
「夢かなんか知らないけど、熱が出るぐらい興奮するとは・・。」
「違うんだ。」
え?と恭子は顔を上げた。
「ユニクロの店員さんに検温されるという今までになかったシチュエーションに、俺のスーパーサイヤ人が、つい・・。」
恭子のビンタが俺の左頬にさく裂した。
眩暈を起こし、俺はその場に座り込んだ。
「サイッテー!」
恭子は捨て台詞を吐き、行ってしまった。
まだ立ち上がれない俺は、去っていく恭子の後姿を見つめていた。
そして新たにこみ上げてくる熱いものを感じながら呟いた。
「ユ、ユニクロの店員さんに、ビンタされた・・・。へへへ。」
―おわりー
【完結】フェチ:「ユニクロスタッフの凛々しいお姿。」
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