天狗の隠れ家

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「命は全てワレがママ。それが当然なんだよ。だから思いのままに決めたらいい。流れに飲まれて自分の意思とは違う結果にだけはならないようにね」  もう何百年も生きているらしいハッカの言葉に、私は静かに頷く。  私はもう妖化が始まっている。  切符を持った人は妖を認識して話ができる。そうれはそうなのだけれど、もし妖と話していたりして関わっている時に知り合いに会っても気付いてもらえない。その時は妖と同じで、認識できない存在になっているからだ。  けれどあやかし列車の駅にいたり妖と話している時でないのに、町で偶然に見かけて声を掛けた友人に「誰?」と返されたのだ。  つい数日前には心配してメールをくれた友人だった。  珈琲を飲みながらしばらく考え事をしていると、開いてもいない扉の鈴が鳴った。  何だろうと思い目をやると、今にも消えそうな光が一瞬だけ見えた気がした。  そしてドカン、と壁に何かが当たった音がしたかと思うと、次の瞬間には大量の本が落ちてきた。 「おぉ、お客さんかな?」  ハッカは特に慌てる事もなく落ちた本の山に近づく。
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