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「真っ赤な夕日をバックにあの耳毛ノウサギを見た奴には、『死』が待っている・・・!!」
そんな噂が、森の仲間達だけでなく人里の人間達にも拡散していた。
「あのウサギ・・・耳から生えてる毛が夕陽を浴びて怪しく光輝いて、地面に死神みたいな影が・・・!!(震え声)」
「ひえぇぇぇぇー!!これこそ『呪いのウサギだぁーー!!!!』」
・・・・・・
ノウサギのイチゴは、他の兄妹より夕暮れ時に遅れて産まれた。
「この子・・・耳の毛が生えてる・・・」
母ウサギは、『イチゴ』と名付けたこの子ウサギが他の子ウサギと違う事に気付いた。
「こ・・・これは!!」
しかし、ある日の夕暮れ。
「みんなー!何してるの?!」
イチゴは、燃えるような真っ赤な夕陽をバックに、野原で遊ぶイチゴの兄妹と母ウサギを呼び掛けた。
しかし、目の前で思いもよらない事が起きた。
「?!!!」
草葉からいきなり、キツネが現れてイチゴのウサギ一家に襲いかかったのだ。
「きゃーーー!!」「逃げてーー!!」
顔を青ざめた子ウサギのイチゴは、次々と1匹のキツネの牙にかかる親子ウサギ達を置いて、大急ぎでこの惨劇から逃げた。
子ウサギのイチゴには、親子ウサギの断末魔の声を長い耳の中で何時までも残っていた。
・・・・・・
惨劇を乗り越えて成長したウサギのイチゴは、今度は狡猾なキツネに追いかけられていた。
「うわっ!!高速道路・・・」
ウサギのイチゴは、しつこく追いかけるキツネに気をとられて、高速道路の夕暮れのスモールランプを光らせてひっきりなしに走る車の中をつきってしまった。
「けーーーーーん!!」
どかっ!!
いまさっきから追いかけてきたキツネが、車に轢かれて死んだ。
「え・・・ええええええええ?!」
キキキキキキーーー!!
ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!ドカン!!・・・
真っ赤な夕陽をバックにして高速道路のど真ん中に立ちすくむイチゴに驚いた車は、避けきれなくて次々と激突して目の前で炎上。
瞬く間に大惨事になってしまった・・・
この事件がきっかけで、世間一帯で噂が大々的にひろまった。
「この辺で、夕暮れ時に耳の先に毛が生えてる『呪いのウサギ』を見ると不幸が起きる。」
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