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「ぎゃーーー!!出たーーー!!」
「化け物だーーー!!」
「助けてーーーー誰かーーーー!!」
街の中は、鋭い悲鳴をあげて血相を変えて必死に逃げ惑う人々であふれかえった。
「キャーーーーー!!」
「わぁぁぁぁーーーーー!!」
「ギャァァァァーーーー!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
キキキキキキキキキキキキーーー!!ドガン!!ガツン!!ドガン!!ボーーーーン!!
ゴオオオオオオーーーーーーー!!
う~~~~~~~~~~~~!!
ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー・・・
車は次々と激突して炎上し、
建物に次々と爆発し、
パトカーや消防車や救急車が行き交い、
人々は忽ち血みどろな阿鼻叫喚の地獄絵図と化していった。
つい、調子に乗ってボロボロの猫の縫いぐるみを着こんで人里に躍り出てしまったノウサギのイチゴは、燃えるような真下な夕焼けをバックに大惨事と化した街並みを見て唖然とした。
「わたしが・・・怪物・・・?!」
猫の着ぐるみなのに、全く『猫』に見えずに得体の知れない世にも不気味な化け物にしか見えないノウサギのイチゴは、正に得体の知れない不気味な怪物としか見えなかった。
それが、真っ赤な夕陽に照らされて更に醜い怪物と化していたのだ。
呆然と立ちすくむ『怪物』のイチゴに、更なる悲劇が起きた。
ビリッ!!ビリビリビリビリビリビリビリビリッ!!
バツーーーーーーン!!
ノウサギのイチゴが纏っていたパツンパツンだった、『猫』の着ぐるみが遂に破けて爆ぜたのだ。
「の・・・」
「呪いのウサギだーーー!!」
「呪いのウサギが出たーーー!!」
「ぎゃーーーーー!!」「俺はまだ死にたくねぇーーーーー!!」
どかーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!
ノウサギのイチゴのその、耳の先にチョコンと生えた耳毛が燃えたぎる夕陽にキラキラ輝くと、周囲が大爆発を起こして街は忽ち見るも無惨な廃墟と化した。
「あーあ・・・こりゃメチャメチャ。
まいいか。どーせやっぱりわたしは『呪いのウサギ』だもん。」
『呪いのウナギ』ことノウサギのイチゴは苦笑いをして開き直ると、夕陽より真っ赤に燃えさかる炎をバックに耳先の毛をくしくしと前肢で整えると、なに喰わぬ顔でその場を跳び跳ねて、そそくさと逃げて行ってしまった。
「呪いのウナギ♪呪いウサギ♪ぴょーんぴょん!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
~夕暮れの呪いのウサギ~
~fin~
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