鬼灯帽子の女の子

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夏の終わり。秋も枯れかけているような夕方に。 鬼灯帽子の女の子が歩くんだ。 しゃり、しゃり。子砂利を踏みしめて。 彼女の頭には、紅い帽子が光っている。 透けたように薄い皮を。 剥かないで、向かないで。 こっち、向かないで。 はだかんぼうの女の子。 泣いてるの? でも、薄暗い夜だから、 誰にも見えないから、大丈夫。 見ないから、大丈夫。 種がこぼれて、 乾いた甘い汁と。 血のような。 土の中に。 消えかけの、夕焼けに溶けたような、 子どもの笑い声。
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