夕暮れはきみと

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早く行きたいような…ちょっと怖いような…でも、自転車を漕ぐスピードは上がっていく。 遠くから土手の上に人影が見えてほっとした。 「橘ー!」 手を振ると、土手の上で橘も小さく手を振ってくれる。 俺は慌てて自転車を停めて二段飛ばして駆け上がった。 「部活、お疲れ様」 にこっと笑われて俺の心臓が跳ね上がる。 ヤバい…何か嬉しい。 「今日もまだ暑いな」 なぜかニヤけてきて二人で並んでベンチに座って話をした。 お互い大学生の姉が居ること、サッカーが好きなこと、実はピアノが弾けること、トマトが食べられないこと、スイーツが好きなこと、犬を飼いたいけど家には姉の権限で猫が居ること…名前だけじゃなくて共通点が意外とあった。 空が赤い間二人でベンチに座って話して、薄暗くなると俺の自転車に二人乗りをして橘を送る。 雨の日はさすがに橘も居ないから、雨が降るとちょっとイラッとしたし、早く暗くなり始めるのも何かおもしろくなかった。
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