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「エジプト人はイムホテップ以降も、ずっとミイラを作り続けました。1000年以上の長い間です。一度も死者が蘇らなかったのなら、数十年かせいぜい数世代で廃れたことでしょう」
「じゃあ、蘇ったミイラがあったって言うの?」
「王墓は盗掘されたのではなく、蘇った王と家臣が宝物や日用品を持って出て行ったんです」
「じゃあ、ツタンカーメンは?失敗したってこと?」
「イムホテップは、古王国が滅びるとき正しいミイラの作り方を封印しました。そして彼らの王朝以後の王が生き返らないように、あえて間違った作り方を伝えたのです。脳を掻き出させ、内臓を取り出させて、蘇生できなくしたのです」
「でも、もし私がイムホテップなら、まず自分を蘇らせるわ」
「そうでしょうね。イムホテップは、アスクレピオスと同一視されていますし」
「ギリシャ時代に現れて、せっせと死者を生き返らせたっていうの?」
「イエス・キリストもラザロを蘇らせましたよ」
「神話や伝説の類でしょう?」
窓の外はすっかり暗くなっていた。
「おしゃべりが過ぎましたね・・・わたしの名前、ぺトーミを覚えておいてください」
そう言うと、エジプト青年は部屋を出て行った。
「変な人・・・」
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