第2話 ヴァンプ

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 かつては、ヴァンパイアになったら殺処分するしかなかった。だが、ヴァンプは映画のゾンビとは違いがある。つまりを有するのだ。そしても保持している。家族にとっては今までどおり父であり母であり、夫や妻であり、子どもたちなのだ。イレーナにとっては、ヴァンプになってもタチアナは親友であり、その親友が苦しんでいるのを見るのは辛かった。人々は、家族や親友が怪物になったのではなく、病気なのだと理解するようになった。  近現代になって、家族がヴァンプになった医師や政治家などが中心となり、共存する方法が模索されるようになった。そこで、この病院に『ヴァンプ専門病棟』が設立された。  感染した患者は夜のうちに救急搬送され、隔離される。タチアナのインシデント以来、救急救命士や医師、看護師は感染防止の厚い防護服を着ることが義務づけられた。
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