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ヴァンプに噛まれると、ヴァンプになる。
では、細菌やウイルスなどによる感染症なのか?
ヴァンプに対するIgM、IgG抗体は検出できるのだが、原因となる細菌、ウイルスは未だに確定していない。プリオンが原因であるとの説も有力だが、狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病と違い、この疾患は遅発性ではなく急性発症するのである。だが、なんらかの伝染性疾患であることは間違いない。そして、残念ながら、有効なワクチンや治療薬は未だ存在しない。
初期の2週間を輸血で乗り切ると、患者は食事を取るようになる。ただ、ほとんど野菜類は取らず、肉を好むようになる。さすがに生肉は食べないものの、やはりレアを好む。ベジダリアンだったタチアナが血の滴るレアステーキを食べているのは、イレーナにはショックだった。
映画などではヴァンパイアがニンニクをいやがるシーンがあるが、肉の風味(健常者にとっては臭みなのだが)を損なうのを嫌うのだ。同じ理由でローズマリーやセージ、パセリなどのハーブも好まない。
こうして急性期の2週間を特別個室で過ごし、さらに数週間十分な経過観察ののち、退院となる。その頃には肌が白くなり、体型はほっそりし、徐々に犬歯が伸びてくる。
退院後タチアナは、ヴァンプ専門病棟の夜勤看護師として、そのまま継続雇用された。
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