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第1話 ネコのミイラ
「ラザロよ、墓より起きて、立て」
〜ヨハネ伝11章〜
*
フランスの小さな博物館。『エジプト特別展』の最終日、社会科見学の小学生に女性学芸員が説明をしている。
「これが古王国時代のネコのミイラです」
子どもたちが恐る恐る近づく。ネコ頭の女神バステトが美しく描かれた棺の蓋は外され、中に亜麻布で包まれた小さなミイラが見えた。
「死者が蘇るためには肉体が必要であるとされ、聖獣であるネコも大切にミイラにされました」
西陽が差し込む窓の外は、夕焼けに赤く染まっていた。
「エジプトでは、太陽の沈む西の方角は死者の世界だと考えられていました。太陽神ラーは日没とともに死に、日の出はその再生であると・・・第3王朝ジェセル王の宰相イムホテップは、死者を蘇らせたとも言われています」
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