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森の真ん中の広場ではみんなが勢揃いで、ピカリ達が戻ってくるのを今か今かと待ち構えていた。
プリンとパルルはひもを握りしめ、特に緊張した面持ちだ。
「あっ、来た!来たよ!」
宇宙クラゲの大家族はピカリ達の姿を確認すると、みんな一斉に歌い始めた。
「ぼくの 家族は 宇宙クラゲ とってもすごいんだ~♪」
みんながばらばらに歌い終わると、パママンパが特大のケーキをもって登場した。ケーキの上では特大の花火が、バチバチと火を散らしている。
うふふ、とパママンパは楽しそうに笑う。
「ケーキを焼いていたから、遅くなってしまったのよ」
広場の中央にはいつの間にか大きなテーブルが据え付けられている。
パママンパはテーブルにケーキを置いた。ピカリは目を見開く。
宇宙うさぎの丸焼き、フライドポテト、フルーツサラダ、そしてピカリの大好きな、クルクルナッツの焼き菓子。
「どうしたの、これ」
だって食料庫は空だったのに、とピカリが目をまん丸にして尋ねると、プックンが、
「実はね、ぼくとポール姉さんでこっそり集めたんだ」
と打ち明けた。
プックンが言うことには、ピカリをびっくさせようと、パーティーのために食料をたくさん集め、木の実の森にかくしておいたのだそうだ。
それで今日はクルクルナッツが全然落ちていなかったのか、とピカリは納得する。
「まだいっぱい残っているから、冬の間も美味しいものが食べられるよ、ピカリ」
「あのね、あたしは冬の蓄えがたりないって本気で心配していたんだよ。内緒にしていた、プックンのせいだからね」
ピカリが文句を言うと、プックンは申し訳なさそうに、うなだれてしまった。
「ごめん、ピカリ」
しょげかえるプックンの背中を、ピカリはぱしん、とたたいた。
「でも、許してあげる。ありがとう、プックン」
ピカリはみんなに、ありがとう、と言った。
あまりに素直なピカリの台詞に、みんなは一瞬だけぽかんとして、でもすぐに笑い始めた。
笑い声がピカリから、プックンから、波紋のように広がっていく。
プリンとパルルはひもを握りしめたまま、“今だ”と顔を見交わせてうなずいた。
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