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大きなくす玉が割れて、垂れ幕と一緒に鳥のおもちゃがたくさん飛び出した。
真っ青な鳥たちが、みんなの頭上を旋回する。
プックンもこの演出は知らなかったようで、目を輝かせた。
垂れ幕に書かれた言葉は、「お誕生日おめでとう」だ。
記念すべき10歳の誕生日、この時、ピカリは生まれ変わったような気持ちがしたのだ。
不安になったり、嫉妬したり、宇宙クラゲは色々大変だ。
でもそんなとき、少しだけ思い出せるといいな、とピカリは思う。
私が今、すでに持っているものは何かなって。
ピカリは広場を見回した。
プリンとパルルは二人でケーキを分け合っている。
ポール姉さんはむしゃむしゃとお菓子を食べまくっている。
ピカリにはみんながいる。みんなにはピカリがいる。
ピカリは今、とても満たされたいい気持ちだった。
のんびりと空を見上げるプックンを見つけて、何となく、ピカリはプックンの隣に立った。プックンは手に持っていた焼き菓子をピカリに渡すと、にっこりした。
ピカリはうなずく。
プックンが今何を思っているのか、手に取るように分かったからだ。
どちらが先に言ったのかは分からない。二人同時だったのか、それともどちらも何も言わなかったのか……。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
あたたかい幸せが、ピカリを包み込んだ。
〈おしまい〉
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