クラゲ一家の秋

雨が嫌い

ピカリの家族は宇宙クラゲの大一家だ。
１５５人の子供たちは、たった一人のパママンパから生まれてきたけれど、みんな顔も性格もまるで違う。

パママンパの１０７番目の子供であるピカリはすぐ怒るので、みんなから嫌われている。
……少なくとも、ピカリ自身はそう思っていた。

ピカリたち宇宙クラゲが暮らす星はとっても寒い。
もうすぐ長い冬が来る。
それなのに今年の秋は雨ばかりなので、ピカリは心配だった。

冬の間の食べ物は足りるかな。
おひさまが足りなくてみんな病気にならないかな。
生まれたばかりの赤ちゃんもいるのに……。

ピカリはペチペチと自分の顔をたたいた。

「あたしがしっかりしなくっちゃ」

本当は、雨の日はぜんぜん調子が出ない。
頭の中がズキズキするし、体だって重たい。
それでもピカリはせっせと雨漏(も)りした床をふいてまわった。
ふいてもふいても、きりがないことに気がついて、ピカリはずーんとした気持ちになる。

（お部屋にもどって、少しだけ寝よう……）

ピカリの部屋は、プックンやポール姉さんと一緒の１０人部屋だ。
かわいい落書きのあるドアを開ける。

しかしそこで見たものに、ピカリの怒りが爆発してしまった。