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05.一線
「妃美香さん」
「……ん……」
律人の部屋に入るなり、強く抱きしめられた。妃美香の身体は今までにないくらい熱くなっていた。
「こんな機会逃すほど子どもじゃない。俺……止まりませんよ」
妃美香の耳元で囁かれる、乱れた声。
「……うん」
逃がさないと律人の身体から伝わってくる。ぎゅっと抱きしめたまま、離そうとしない。
「……キス、しますから」
「……」
妃美香がこくりと頷くと、律人の手は妃美香の顎を持ち上げた。すぐに重なる唇。最初から貪るような激しいキスだった。伺いを立てるような人とは思えない。妃美香の耳朶をくすぐりながら、角度を変えて何度もキスをする。
「……ずっと、こういうキスがしたかった」
律人の舌が、妃美香の薄く開いた唇に割って入ってくる。ぬるりとした感触に一瞬身体が逃げたけれど、律人はそれを制止し自分の身体に押し付けた。
今まで我慢していたものが溢れ出したような、苦しいほどのキスだった。
「んっ……」
咥内を丹念に舐る舌が妃美香の中で動き回る。妃美香の舌を絡めとると、根本から吸い上げた。びくびくと腰が揺れ、立っていられなくなる。
「っ、は……妃美香先生……妃美香さん」
先生、という言葉に背徳感に襲われる。今の自分は「先生」ではないのに。
唇が離れると、荒い息を吐きながら妃美香の頬や耳、首筋にキスを落としていく。
「妃美香さん、ベッド行こ」
「っ」
こんな甘い声聞いたことない。
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